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最高裁判所第二小法廷 昭和24年(れ)364号 判決

主文

原判決中被告人滝本一美に關する部分を破毀し本件を東京高等裁判所に差戻す。

被告人田中秀男の上告はこれを棄却する。

理由

被告人田中秀男の弁護人本谷暢音の上告趣意第二點について。

しかし窃盗教唆罪と賍物牙保罪とは別個獨立の犯罪であるから同一人が「窃取して來れば賣却してやる」と言って他人に對し窃盗を教唆し且つその賍物の賣却を周施して牙保をしたときでも、それは窃盗教唆と賍物牙保の二罪が成立するのであって後者が前者に吸收さるべきものではない、そして窃盗教唆が正犯たる窃盗に準して處斷されると云うことから賍物牙保罪は窃盗教唆罪に當然に吸收されると云う結論を導きだすことは到底できないのである。然らば原審が右と同一見解の下に被告人に對し窃盗教唆の外賍物牙保の責任を認めたのは正當であって論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって刑訴施行法第二條、舊刑訴第四四七條、第四四八條ノ二、第四四六條により主文のとおり判決する。

この判決は全裁判官一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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